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「マスクは無意味」ではありません

 

マスクを着けることは、インフルエンザや今回の新型コロナウイルス感染症に対してどんな効果があるのでしょうか。

一般的に、以下のようなことが言われています。

1. 自分の身を守る
・手で(無意識に)鼻や口に触ることを防ぐ(接触感染の予防)
・気道の乾燥を防ぎ、粘膜の働きを守る

2. 他人に感染を移さない
・飛沫を空中に飛ばすことで他人に感染させることを防ぐ(飛沫感染の予防)

マスクでは感染を防げない、という声を耳にした方も多いと思います。確かに、インフルエンザウイルスやSARSウイルスは0.1マイクロメーターほどの直径といわれていますから、普通のマスクの網目の直径が10マイクロメーターであることを考えるとウイルスが素通りしてしまうという説明で納得されるかもしれません。

しかし、飛沫感染と接触感染が主な感染ルートとなるウイルスでは、ウイルス単体がマスクを通過するということは考えにくい現象と思います。

飛沫(咳、くしゃみの時に出る霧状のしぶき)中のウイルスとなると全体で10マイクロメーターぐらいの大きさになるので、これが体に入ること、体から出ていくことを少しは防いでくれそうです。とはいっても、顔にきっちりとフィットさせてマスクを着けていないと、その隙間から飛沫が出入りしてしまうというのも当然起こり得ますので、着け方には注意が必要です。マスクを過信しない、といった姿勢も大事です。

最近評判の芳しくないWHOですが、これまでマスク着用の有用性については否定的な見解を示してきました。ところが、4月6日付で新型コロナウイルスに関するマスクの使用について一部を更新し、まだ症状がなく自分が感染しているという自覚がない人が他人に移さないためにマスクの使用は有用な可能性があるとしています。ただし、しっかりと手洗いをし、他人との距離を取ることを前提にですが。

一方、今話題の布マスクについては推奨、不使用勧告のいずれもできるようなエビデンスはないとしています。

ごく最近の論文で布マスクについて興味深い報告がありました。4例と数は少ないのですが、新型コロナウイルス感染症の患者さんにサージカルマスク(不織布)とコットンマスクをして咳をしてもらい、20㎝離れたところの培養皿でウイルス量を計測したところ、全体にはコットンマスクのほうがウイルスの量が少なかったという結果が示されています。マスクについてはまだまだ分からないことも多そうです。

だれが新型コロナウイルスに感染していてもおかしくない、といわれる状況になってきた今、自分が思いがけず他人にウイルスを移すことのないよう、必要なTPOでは正しくマスクを着用することは大切であると思いますが、皆さんはどう考えられますか。